第1回コヂカラ・カフェ「世界で通用する子育てをアップデートする」開催レポート

「オランダの子どもに将来の夢は何かと聞くと“ユーチューバ―とは答えない”
ゆっくりと考えながら自分のなりの言葉でどんな人生を歩みたいかを語る」

そう話すのは、国際自由人の藤村正憲さん。会場には、グローバル視点での子育てに関心の高い親が集まり、真剣なまなざしで聞いていた。

「コヂカラ・カフェ」とは、親の子育ての考えをアップデートする場で、第1回目のテーマは「世界で通用する子育て」である。
(経緯や概要の詳細は、こちらを参照ください)
※コヂカラカフェ概要PDF

7月某日都内で開催され、親として、またこれから親になるにあたり、どのようなスタンスで子育てをすれば良いのか、そこが知りたい様子。

藤村さんは、AERA「アジアで勝つ日本人100人」に選出され、北京、香港、マレーシア、オランダと移り住み、自身や家族に必要なものがある国に移動する「国境を意識しない生活」というライフスタイルを実践している方。
※藤村正憲さんHPはこちら。
※藤村正憲さん著書「世界で通用する最強の子育て」はこちら。

「睡眠時間が子どもも大人も足りてないのでは!?」

特にオランダと日本の社会環境や子育ての価値観の違いに言及する。オランダでは、子どものサッカーの試合が夕方にあるとそこに駆けつけ、18:00頃には、家族が全員揃う。食事や家事を済ませて、20:00頃には、ベッドに入り読み聞かせをする。

世界一働き方が進んでおり、幸福度も高いと言われているオランダ。会社の座席は、社員の人数分はない。皆、在宅勤務が当たり前。子どもも大人も同じリズムの生活が成り立っているのである。

「先生や上司、社長へ忖度はしない」

一括採用ではなくジョブ型採用が当たり前の海外にあって、成果が伴わなければ、上司が責任を追う。任せる仕事が、本人の力量にあっていないマネジメントの責任である。サッカーも同様で子ども達ではなく、監督の責任。成果を出す為にも、個人を尊重しフラットでなければならない。

親と子、上司と部下のような関係性は薄い。個人として接する。例えば「頭ごなしに○○しろ!」とは言わない。「私はこう思う。あなたはどう思うか」のスタンスが基本にある。このことで、“考える力”が身につく。

「何のために学ぶのか。何のために働くのか」と目的や理由を問うことが普段からある。どの職業につくかではなく、自分にあった人生を歩むためには、どうすれば良いかを考える機会が増え、豊かにすることを追求する思考となり、“意志を持つ力”がつく。

会場は、藤村さんの話に聞き入り、あっという間に時間が過ぎた。

「子育てって何が正しいではなく、伝えたいことの軸を持つこと」

第2部をコヂカラ・ニッポン林田理事が担当。コヂカラ・ニッポンの他、ファザーリング・ジャパンの理事でもある。九州男児の妻、3人の男児の母であり、日米両方における出産・子育ての経験もいかし、現在、小学生を持つ親子を対象とした海外スタディーツアーの企画にも関わっている。
※林田理事のHPはこちら。

3人の男児の子育てを振り返ると長男の時は、子育て本も読み「ちゃんと」にこだわって子育てしていた。一方三男は、なんでもあり状態でありのままのスタンス。「今、子ども達の成長をみるとそこにほんとど差はない(笑)」という。

そのあるべき論を払しょくした一つのきっかけは、2年間の家族留学の際の様々な国籍の家族との関わりだったという。感情をぶつけ合うラテン系、論理的に話すイギリス人、コーチングのようなスタンスのアメリカ人など、多様な子育てを見た。それぞれの違う子育てを間近で見ることで、何が正しいではなく自分の軸を持とうと思ったという。
「夢中力」「子は個」「根拠のない自信」「危機は機会」「頼る力」など、後半は自身の子育ての中で大切にしてきたキーワードを中心に話が進んだ。

「弾丸ツアー」というキーワードでは、子どもが「合掌造りが見たい」と発言があれば、夜の22時に出発して岐阜県の白川郷まで、日帰りの弾丸ツアーを家族で出かけたという。また、「暇時間」というキーワードではスケジュールを詰込すぎないことで子どもが自然と何をしようか考えられるように心がけた。暇になると何かしたくなる。こんなことが「夢中力」というキーワードに繋がっている。

林田さんのホンネの子育てのトークに、会場からは笑いが起こり一体感ある雰囲気となった。

第3部では、ファシリテーターに、コヂカラメンバーの奥野が担当。奥野さんは、本業とは別に地域のファシリテーターとして市民活動の経験も豊富で、地域での子育てのテーマでも活動している。

〇子育てでこころがけていることは?

「期待はしないけど、信頼はする」と藤村さんはいう。

子どもに対しての過度な期待がバイアスとなり、親の価値観の範囲で子供がおさまる。自分に対しても等身大の自分を大切にただただ受け入れることを大事にしている。

「もし明日親に何かあっても生きていけるようにと心がけた」と林田さんは話す。

自身の母親が病気で亡くなったという経験から、我が子には親がいなくても生きていける力を身に付けてほしいという想いがある。

会場からも質問があがり、最後は、子育てに対して、親として失敗も見せながら、自分なりのスタンスやありのままで良いと、少し肩の荷がおりたような和やかな雰囲気につつまれた。

文:小田桐 正治
写真:大森 光太郎


2019-07-13 | Posted in コヂカラカフェNo Comments » 

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