連携型子育て「チームわが家」で育む両立力&家族力を考えるフォーラム開催
NPO法人ファザーリング・ジャパン&NPO法人コヂカラ・ニッポン、Google Women Will共催のイベント、連携型子育て「チームわが家」で育む両立力&家族力を4/21(金)六本木ヒルズにて開催しました。
昨年末にスタートした「Team wagaya project」。夫婦のどちらか一人だけ、または夫婦二人だけで子育てをするのではなく、民間サービス、行政サービス、家電、テクノロジー、じいじ&ばあば、地域のパパ友&ママ友等、あらゆるリソースと連携してチームとして子育てしよう! つまり、ママ一人の「ワンオペ」でも、夫婦二人の「ツーオペ」でもなく、マルチオペレーション型の「マルオペ」で行こう!というのがコンセプトです。 今回のフォーラムはキックオフ的に色々な角度からチーム我が家を考えよう!ということで、7人の登壇者によるリレートークとパネルディスカッションを行いました。
最初にご登壇いただいたのが、浜屋祐子さん。今年3月に浜屋さんご自身の修論を元にした『育児は仕事の役に立つー「ワンオペ育児」から「チーム育児」へー』を出版されました。
浜屋さんのご研究によると、「育児の体制づくり」の中でも、特に協働の計画と実践と家庭外との連携はリーダーシップの向上にプラスの影響があるそう。また、「人に助けてもらう力=ヘルプシーキング」も鍵。「人に助けてもらうのはいいことだ」という認識を持つことも「育児の体制づくり」にプラスの影響を持つということでした。 浜屋さんは「助けを求めることをポジティブに捉えて、一人で抱え込む育児ではなく、チームで子育てをしていこう!」と締めくくられました。
続いて、NPO法人tadaima!代表理事の三木智有さん。家庭内、夫婦間の連携、つまり、夫の巻き込み方についてお話いただきました。 夫婦で家事の話をするコツは「具体的なテーマ」があること。例えば、モヨウ替えや引っ越しやライフイベントがあると、積極的に家事育児について話すきっかけになるそうです。
続いては、株式会社エスキャリア・ライフエージェンシー代表取締役の城 梨沙さん。家事代行に子どものお手伝い力を育む食育共育サービスをプラスしたESキッチン es-lifeagency.co.jpを展開されています。 単なるアウトソーシングではなく、子供を巻き込むことで、子供の自己肯定感も向上するという素晴らしい事業。まさにコヂカラの概念とぴったりのお話でした。
続いて、船橋ワーキングマザーの会代表の高橋奈緒子さん。地元の人となかなか繋がりにくい地域のワーママを繋げる活動をしています。高橋さんが目指すのは「ごった煮の育児」。パパ、ママ、じいじ、ばあば、子供達みんなが地域でごった煮みたいにみんなで一緒に育ち合うコミュニティ作りを目指しています。 「助けてもらう」ではなく、自然と「お互いさま」になるような関係づくりが大切ということでした。
さらに、マルオペ育児実践者代表の篠田梓さん。家電はもちろん、シッターさん、家事代行、遠く離れたじいじ、ばあばと、とにかく圧巻のヘルプシーキング力、いや、ヘルプゲッティング力でした。 家事代行を入れたことで、子供達のお手伝い力も高まったというコメントもあり!家が綺麗になることでみんなに気持ちの余裕ができて、家事を負担ではなく、楽しいものと思えるようになったということでした。
そして、テクノロジー代表Googleの山本裕介さん。調査によるとスケジューラーを用いて夫婦間でスケジュールを共有すると、夫婦間のコミュニケーションが増え、コミュニケーションロスが減るそう。また、それに伴い、男性の家事育児への満足度が高まり、女性の家事育児へのストレスも減少。情報を「共有」することでお互いへの満足感が高まるそうです。
最後に、NPOコヂカラ・ニッポン代表理事でFJの理事でもある元祖イクボス川島さんが総括lワークとライフとソーシャルを楽しむことで、個々の中にダイバーシティが生まれ、個々のダイバーシティの掛け算により企業が強くなる!だから、職場と飲み屋だけではなく、地域に出て行こう!と喝!が入りました。
後半はパネルディスカッション。限られた時間の中から大きく二つのテーマについてディスカションしました。
一つはやはり夫の巻き込み。「アウトソーシングやシッターを利用しようと思っても夫が反対する」という質問についてディスカッションがスタートしました。
三木さんからは「夫が有用感を感じることが大切」というコメント。 また、篠田さんからは夫にプレゼンをしたり、家事代行を利用する時は夫がいるときにして良さを実感してもらうと良いというアドバイスがありました。
また、城さんからは、「お試しの利用が効果的」というアドバイスも。また、「妻の機嫌が格段によくなる」というのが何よりも効果があったそうです。 また、やはり夫婦のコミュニケーションが鍵という意見も。
山本さんからは夫婦間の「知らないの壁」がなくなることが大切なのでは、というコメントがありました。スケジューラーで情報が可視化されることで、夫婦や親子の会話も広がるということでした。 夫だけではなく、妻側にも家事代行やシッターの利用については心の壁があるという意見もあり。
それに対して、高橋さんからはごった煮育児でママ自身の「ちゃんも掃除しなくちゃ。」「きちんと料理つくらなきゃ。」という固定概念をなくしていくことが大切だというコメントがありました。
浜屋さんの研究によると、職場のフレンドリーな雰囲気がヘルプシーキング志向にも影響するという結果が出ており、それに対して、川島さんからは「上司から部下だけではなく、部下からもきちんと上司とコミュニケーションをとるべき」と喝!が入りました。
山本さんによるとグーグルではオフィスにお菓子を戦略的に配置していて、雑談が自然と生まれる工夫がされているそう。それもきちんと「投資」として位置付けているところがさすがでした。
さらに、子供のことについて話が展開。 高橋さんによると、地域での子育てを通して子供がいろいろな家庭を見ることで、自分の家のスタンダードが絶対ではないことに気づき、子どもの中にも多様性が生まれるとのこと。
また、城さんからはシルバー代行やスリールのインターンさんといった多様な人と自分が関わる姿を子どもに見せられるというコメント。 チーム我が家は子供にもプラス!という結論に至りました。
最後に会場から質問。 「やっぱりお金がかかるのでは?」「地方では難しいのでは?」
これに対し登壇者からは、
・働き続けていくための「投資」だと考える。
・地域の連携や近所の助け合いなどお金がかからない連携方法もあり!
・地方の方が地域との連携体制を作りやすい環境がある。
等の回答がありました。
「何歳ぐらいから連携子育てをしたら良いのか?」という質問に対しては、 川島さんご自身がお子さんが高校生になってからお弁当作りを始めたというご自身の経験から「いつでも大丈夫!遅すぎるということはない!」とアドバイスをいただきました。
最後に、ファシリテータの林田が、子どもがいろいろな人と関わること、親がいろんな人に頼る姿を見せることで、親のなかに、子どものなかにヘルプシーキング力が芽生える。大人も子供ももっと頼っていいよ!というメッセージをチーム我が家を通して発信したいというコメントで締めくくりました。
アンケートには参加者の皆さんからのコメントをいただきました。以下に一部を紹介します。
・マルオペに抵抗はなかったのですが、実行していなかったので、まずやってみようと思いました。
・もっと人に頼ろうと思いましたありがとうございましたこれからのコミュニティーのあり方を考えさせられました。
・家庭のことを夫婦一緒に考えていくということ、夫は実は頼られたがっている(パパの有用性)。
・手軽に地域とつながれる方法として子供会をお勧めしたいです。近年入る人が少なくてという話を役員の人から聞いたので。今日は良い話を聞けましたありがとうございました。
・男女問わず、育児をこれだけ積極的にする人たちを久々に見ました(笑)“すべき”ではなく、多様な選択肢のある会社になるといいですよね。心理学という視点から育児研究をしているのでまたお話を聞く機会があれば参加したいです。
・職場で連携型子育てが実践、継続されれば、若い世代でも、“結婚しよう、子供を持とう”という積極的な気持ちになれるかも?と思いました。
・育児を通して仕事力を上げることができるなど、なるほどと思うことがたくさんあり、とても面白いフォーラムでした。
・個人的に結婚前のカップルなどでもこのようなフォーラムの話をして将来について考えるきっかけを作れたら面白いと思う。
・本日のフォーラム、家事代行の利用に関する自分自身のハードルをすごく下げてくれました。美味しい料理をお家で食べたいです。
文・林田 香織
写真・大森 光太郎